こんにちは。
心理相談室 LAUNDRY カウンセラーの村本大志です。
二月下旬になってますます寒い日が続きますね。
休日には暖かい部屋でDVDなどゆっくり見るのもいいかと思います。
欧米の文学や映画には心理学やカウンセリングを扱った作品が多くあります。
それだけ身近な存在なのかもしれません。
そんな作品の中から僕が感じ入ることがあって、こういう内容に興味がある方に見てもらいたいな・・と思う作品について時々書いていこうと思います。
映画や演劇などのワンシーンや小説の中のひと言のセリフが、数多くの言葉を重ねるより自分が抱えていることを洗い流してくれることは多々ありますし、またそのことについて考えることや話すことでパズルが解けていくこともあります。
2013年のフランス映画『ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して』は、英語の作品です。
「キングス&クイーン」のアルノー・デプレシャン監督がベニチオ・デル・トロとマチュー・アマルリックという名優を迎えて作り上げた心に染みる地味な作品です。
この映画の中でデル・トロは原因不明の障がいを抱える第二次世界大戦の帰還兵のネイティブ・アメリカンをアマルリックはアメリカに住むフランス人分析医をそれぞれ演じます。
1948年が舞台の映画なのですが、アメリカが帰還兵の精神的ケアを専門とする病院を当時から運営(軍が)しているのが驚きです。
そこに入院するもなかなか症状が改善しないので、人類学者でもあるジョルジュがNYから急遽呼ばれて担当医になるのですが、分析医としての実績は乏しいジョルジュが全力を傾けてジミーの治療に当たる日々を描いています。
といっても外科的な治療をするわけでもないですから、映画のほとんどは二人の会話(=カウンセリング)シーンになるわけです。
このあたりが僕が地味な作品という所以です。
映画的なダイナミズムは全て人の心の中にあり、そこだけを丹念に描きます。
ジミーの戦争の傷跡を癒すプロセスが物語であり、戦闘シーンはほぼなく、それでいて戦争映画でもあります。やがて心の傷が戦争だけではないことに二人は辿り着きます。
少しづつ距離が縮まりながら、信頼関係を深めていく二人の淡々とした演技には唸らせるものがあり、ぐいぐい引き込まれていくのです。
信頼関係(ラポール)なしに治療なし、といいますか、そのあたりの丁寧な描き方はさすがなのです。
この作品が見る人に深い癒しをギフトとしてくれるのにはわけがあります。
それは、人は自分の傷を(ひとりでいいから)他者に理解されることを心の奥底で願っている、という真理を丁寧に描き出しているからです。
そして何より患者と治療者という関係性が、あくまで人と人として対等な関係が土台になっているからこそ生まれるお互いの深い共感と理解が二人の演技を通してひしひしと伝わってくるのです。
未見の方もいらっしゃるでしょうから、細かいストーリーは控えますが(控えながら書くって難しいですけど・・)この映画を下支えしているのは、まずA.デプレシャン監督の人間を信頼する眼差しであり、そして第二次大戦帰還兵、ネイティブ・インディアンという出自、在米フランス人の人類学者という異邦人、精神分析、カウンセリング・・という道具仕立てを二人の名優の魂のこもった演技力なのです。
人と人は時間をかけた深い対話を通して、必ず分かり合える。
そのプロセスを描くということが映画的なのだと、そう信じさせてくれる映画でした。